まだ自分が元気なうちに家族のために備えておきたいという思いから、遺言を作成している方は少なくありません。しかしながら、いざ相続が発生すると、遺言の内容に不平等を訴える相続人もいます。
残された親族たちに争いが生じないよう、元気なうちに遺言を残しておくことは大切なことです。しかしながら、その遺言が原因で親族たちに争いが生じては本末転倒。将来に備えておきたいならば、事前に推定相続人(いま相続が発生した時に遺産を相続する人)たちと話し合っておくことが大切です。
たとえ肉体が元気だったとしても、明確な意思疎通ができない状態では、適切な相続の話し合いができません。相続の話し合いは、親の心身が元気なうちに行っておくことが理想的です。
親は誰に何をどの程度相続したいと考えているのか、親に介護が必要となったときに財産をどのように使えばよいのか、実際に相続が発生した際にはどのような手続きをすれば良いか等々、親が元気なうちによく話し合っておきましょう。
節税対策になるならば、生前贈与を検討してみて良いかもしれません。
親も子も、相続に関する話し合いが大切なことは理解しています。しかしながら親としては、まだ元気なうちに相続の話し合いをすることを嫌がることもあります。逆に、まだ元気な親を前に、相続の話を持ちかけることを躊躇する子もいるでしょう。
親が元気なうちに相続の話し合いをすることは大切ですが、お互いの空気を読みながら相続の話をすることも大切です。親が話し合いを希望するときが、相続の話を持ちかける理想的なタイミングとなるでしょう。
実際に相続が発生すると、「誰が、何を、どの程度、どのように相続するのか?」という点で、相続人の間にもめごとが発生することがあります。
相続人同士のもめごとを回避するためのポイントを押さえておきましょう。
まずは誰が相続人かを明確にします。
法律上、相続人となれる人は「法定相続人」とされる人たちです。法定相続人とは、被相続人(財産を相続される人)の配偶者や子、親、兄弟姉妹などのこと。法律上、相続する権利を有している方を法定相続人と言います。
法定相続人を漏れなく明確にした上で、次に相続財産の内容や金額(評価額等)を明らかにします。預貯金や有価証券だけではなく、住宅や土地、収益物件、車などがあれば、それらも漏れなく相続財産として明記します。
相続人や相続財産の内容が明らかとなったら、各法定相続人に対して相続財産の内容を伝えます。あわせて、法定相続分(各相続人が相続できる割合)に基づき、それぞれの相続人がどの程度の財産を相続できるかも伝えます。
実際に誰がどの程度の金額(評価額)を相続するか未定であっても、まずは法定相続分の基準に基づいた金額を示し、これを法定相続人全員に認知してもらうことが大切です。
なお、すでに被相続人と別で暮らしている前妻の子がいた場合、この子も法定相続人となる点にご注意ください。のちに遺留分(法律上確保されている最低限度の相続財産)請求などでトラブルにならないよう、かならず被相続人の前妻の子にも相続発生の事実を伝えます。
相続手続きの一部にはタイムリミットがあります。そのため、相続人全員に遺産の内容を伝えるのと並行し、具体的な相続手続きのスケジュールを共有する必要もあるでしょう。
特に注意したい手続きのスケジュールが「相続放棄」。被相続人に借入金が多い場合、相続放棄の手続きをしなければ、相続人は借入金も相続しなければなりません。負の遺産を相続したくない方は、相続が発生したことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄手続きを行う必要があります。
ほかにも、所得税の準確定申告(4か月以内)、相続税の延納・物納の申請(10か月以内)、相続税の申告・納付(10ヶ月以内)など、タイムリミットのある手続きを中心に相続人全員でスケジュールを共有しましょう。
相続財産の中に不動産が含まれる場合には、その分け方について理解を共有する必要があります。
不動産の分け方のパターンは主に3種類。1つめが現物分割(不動産そのものを物理的に分割して相続する方法)、2つ目が代償分割(特定の相続人が不動産をすべて相続する代わりに、他の相続人に対価を支払う方法)、3つ目が換価分割(不動産を売却・換金してお金を分け合う方法)です。
たとえば、住居一つを複数の相続人で現物分割することは困難でしょう。あるいは、遠方で一人暮らしをしていた被相続人の住居を代償分割することも、なかなか難しいかもしれません。
現状に照らし、適切な分け方を検討する必要があります。
各相続人において、相続税がかかるのかどうか、かかるとしたら目安はいくらかを把握しておく必要があります。
相続税は、原則として現金での一括納付となります(現物納付は例外規定)。そのため、中には相続税の納付で現金の工面に苦労する方もいます。「こんなに相続税がかかるなら、違う分け方のほうが良かった…」という相続人も出るかもしれないので、事前に相続人全体で相続税に関する状況を理解・共有しておく必要があります。
相続の話し合いは、親が元気なうちに行っておくことが理想です。親が生前に話し合いに参加することで、相続における親の意向を尊重できるからです。また、事前に親とともに話し合いすることで、いざ相続が発生した際の相続人同士の争いを防ぐこともできるからです。
相続の話し合いをする際には、一部の相続人だけではなく、推定相続人(いま相続が発生した場合に相続人になる人)全員が参加することが基本。親が元気な生前に、全員が納得できる話し合いをしておきましょう。



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